
原子がいくつも集まったとかどうとか。
0がいくつも並んでいて難しそうだし、やだわー。
mol(モル)についてのこんな悩みを解決します。
もくじ
本記事の内容
・mol(モル)が何なのかをわかりやすく解説
・どうして原子の数が\(6.02×10^{23}\)などと、わざわざ難しく書いているかを解説
それでは見ていきます。
molを三匹のコブタでイメージする
そもそもmolとは、物質を形作る原子(分子もありますが、ここでは代表して原子とします)の個数を表すものです。
molの考え方について、三匹のコブタのレンガの家を例にとってみます。
原子をレンガ一つ一つと考えて、例を読んでみてください。
コブタさんとレンガの家を例に、モルをわかりやすく解説

ある日、ブタさんはレンガの家で暮らしていました。
するとそこへオオカミさんがやってきて、自分にも全く同じレンガの家を作ってほしいと頼んできました。

家づくりを引き受けたコブタさんは、まず自分の家のレンガの数を数えました。
すると、レンガは\(6.02×10^{23}\)個ありました(\(6.02×10^{23}\)については後で解説します)
そこで、レンガ屋さんにレンガ頼もうと、注文書を書いているとき、ふと思いました。

いちいち注文書に\(6.02×10^{23}\)個って書くの面倒だなー。
もしかしたらオオカミさん以外にも家を建ててほしいって動物さんが出てくるかもしれないし。
あ!そうだ!
\(6.02×10^{23}\)個を1molと名付けて、これからは注文書に書くことにしよう!

そう考えたコブタさんは、molについての決まり事を書いた注文書をレンガ屋さんに出しました。

こうしてコブタさんは、家を作ってあげるときは、レンガの個数を1molと呼んで注文するようになりました。
めでたしめでたし。
このように、原子が\(6.02×10^{23}\)個集まったときに、1molと名付けようと決めたわけです。
12個だからダースみたいな、そんな感覚ですね。
他にもペアは2人、トリオは3人とか、よく使います。

どうしてわざわざ\(6.02×10^{23}\)個って書くの?
原子の数は\(6.02×10^{23}\)個ですが、何でわざわざ\(10^{23}\)個とかって指数(数字の右上に数を書くやつです)を使って難しい表現をするのか、についてです。
これは、簡単に言うと、普通の書き方をすると、とっても面倒だし、書きづらいからです。
もし普通に1molの個数を表記すると

こんな感じで、とても表記が大変になります。
これだと書きづらいですよね。
なので、\(10^{23}\)という書き方を導入して、6の後ろについてる小数点を後ろに23個ずらした数を表しています。
このような表現は大きい数を扱う世界(ケータイの容量、ギガ)や、反対に小さい数(原子の大きさ)などを扱うときに用います。
また、0が3つ増えるごとに呼び方が変わるので、覚えておくと便利です。
反対に、小数点の表現はマイナスをつけて行います。下の表を参考にしてください。

molを使うと原子・分子・気体の扱いが楽になる
molという考え方を導入すると、次のようなことを考えるのにとても便利になります。
逆にいえば、下にあるようなことを簡単に考えたいから、molを作り出した、ということです。
①重さとmolはリンクしている
酸素や二酸化炭素、水など、さまざまなものには重さがあります。
また、全ての物質は1molあたりの重さが決まっているので、
重さがわかる⇔mol数がわかる
のように、一方がわかればもう一方がわかるようになっています。
身近な物質の「水」について考えてみます。
500mlのペットボトルに入っているとします。
水1molあたりの重さは、18gと決められているので、ペットボトルには、500÷18=約27.8molが入っています。

ちなみに、さっき覚えたことを使えば、500mlペットボトルの水の原子の数は、
1mol=\(6.02×10^{23}\)個
なので、27.8mol中には
27.8mol×\(6.02×10^{23}\)=約\(1.67×10^{25}\)個 と数えることができます。
また、1molあたりの物質の重さの一例は以下のようなものがあります。

1molあたりで考えると、同じだけの原子の数で比較することができるので、その物質が重いのか、それとも軽いのかが判断しやすくなります。
② どんな気体も、1mol集めると同じ大きさ(体積)になる
空気よりも軽いヘリウム、空気より重い二酸化炭素について考えます。
ちなみに、二つの気体の1molあたりの重さは、
ヘリウム:1g
二酸化炭素:48g
となります。
0℃、1気圧の環境で、二つの気体をそれぞれ1mol集めて、ペットボトにに入れたとします。
すると、22.4ℓ分のペットボトルがあると、どちらの気体もぴったり収めることができます。
このとき、2つの気体は重さが違うだけで、あとは全部一緒です。
この法則の便利なところは、何かわからない気体を0℃、1気圧で22.4ℓ集めて重さをはかると、その重さから何の気体が入っているかわかってしまうことです。
まとめ
①、②を図で表すと、こんな感じです。

molの考え方を導入すると、こんなにも得られるものがあるんですね。
これで今後molについて書かれた問題があってもひるまずに解けると思います。