圧力損失(圧損:Δp)を計算するファニングの式を紹介します。
ファニングの式は、管内を流れる流体の圧力損失を表す式です。
この式は
\(\Delta p=4f(\frac{L}{D})・(\frac{{\rho}v^{2}}{2})\tag{1}\)
(1)式、覚えにくいですよねーほんと。暗記が嫌いな僕なんかはどうにか覚えないでいけないものかと考えてました。
そこで、完全に暗記しないで済むわけにはいきませんが、理屈を知ると少し助けになるかなと思いますので、以下のように考えてみてください。
それは、ファニングの式は運動エネルギーの損失分である、ということです。
(1)式は、圧力損失について解かれており、運動エネルギー\(\frac{{\rho}v^2}{2}\)に対して、他のパラメータが掛け算、割り算してあります。
なので、
圧力損失を増大させるパラメータ→掛け算側
圧力損失を減少させるパラメータ→割り算側
この考え方を踏まえて詳細に説明していきます。
①運動エネルギーがどのくらいロスするか
先ほど述べたように、(1)式にある\(\frac{{\rho}v^2}{2}\)で表される運動エネルギーが、配管内径Dや長さLによってどのくらいロスするかを表す式がファニングの式になります。
物体(流体でないもの)の運動エネルギーは\(\frac{mv^2}{2}\)で表しますが、流体の運動エネルギーは、1\(m^{3}\)あたりの重さで定義するのでm(質量)の代わりにρ(密度\(kg/m^{3}\))を用いて運動エネルギーを表します。
②(L/D)の考え方 長さL
図1のように円管内を流れる流体を考えます。

まずは管の長さについてです。
管を流れる流体は、管の壁面にあたることでエネルギーをロスしています。これが圧力損失として表されます。
なので、流体が長い管の中を流れていたら、摩擦によってロスする量も増える気がしますよね。
だから、Lが大きくなればなるほど圧損は増加するので
長さLが長くなる:圧力損失を増大させる→掛け算
と考えます。
③(L/D)の考え方 配管内径D
次は配管内径Dがどのように圧力損失に影響するかを考えます。
例えば、僕たちが走る場合を考えてみます。もし狭い路地を走る場合、肩が壁にぶつかったり障害物があってあまりスピードをだせませんよね。
一方、広々とした道ならロスなく走ることができます。
流体も同じで小さな流路より大きな流路はロスが少なくて済むんです。
配管内径が大きくなればなるほど圧力損失は減少するので
配管内径Dが大きくなる:圧力損失を減少させる→割り算
と考えます。
④摩擦係数4f
今まで考えた値に摩擦係数4fをかけると、ちょうど圧損がでてくるというわけです。
普通、式に入っている係数(高校物理で習ったF=μNのμです)などは、1文字で表されますが、これは4fなんですね。
これにはからくりがあるようなので、どこかで説明しようと思います。
まとめ
上のパラメータL、D、係数4fを運動エネルギーにかけたりわったりしてあげることで、圧力損失が求められることがわかりました。
圧力損失が運動エネルギーの損失分で、それを引き起こすのがなにか、また、どうなれば圧力損失が増大するかがわかれば全て暗記しなくても公式を導くことができます。